起業したらまず着手するのが、法人口座の新規開設ですね。最低一行でも法人口座を開設しなければ、法人名義での着金が出来ず、ビジネスが滞ってしまいます。
しかし、最近、法人口座の開設に苦しむスタートアップの声を聞くようになりました。
法人口座開設の審査に落ちた理由を金融機関側からはっきりとは説明されないため、理由も分からず、困り果てている方がいるのも現状です。
口座開設の審査の難しさも銀行の種類によって変わってきています。
法人口座開設の選択肢
1.メガバンク・都市銀行
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行など
2.地方銀行
横浜銀行、千葉銀行、静岡銀行、常陽銀行など
3.信用金庫
城南信用金庫、多摩信用金庫、西武信用金庫、城北信用金庫など
4.ネット銀行
楽天銀行、住信SBIネット銀行、ジャパンネット銀行など
なぜ法人口座開設が難しくなっているのか?
以前にも増して法人口座開設の審査が厳しい傾向にありますが、その理由としてFATFという機関が関係していると言われています。
FATFとは、「Financial Action Task Force」の略であり、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策に関する国際的な政府間会合のことを意味します。FATFは、マネーロンダリングやテロの対策として、国際基準の策定や加盟国、地域、機関への勧告、勧告遵守の推奨、指導的役割も担っています。
過去のFATFによる審査において、日本は多くの不備の指摘を受けたため、日本国政府は、犯罪収益移転防止法を立法しましたが、なおも不十分との指摘を受けています。
FATFの審査が2019年11月に控えており、民間金融機関は新規の法人口座開設に慎重になっていると考えられます。
各金融機関の法人口座開設の傾向
これまで、申し込みから法人口座開設まで時間が早いという理由で、まずは最初に申し込むと良いと言われていた信用金庫、信用組合。しかし、最近バーチャルオフィスやコワーキングオフィスのフリーアドレス(個室の専有スペースでない席)契約で登記している場合、法人口座開設が難しくなっています。営業実態が確認しにくく、オレオレ詐欺やマネーロンダリングのためのダミー会社との疑いが拭えないというのがその理由だと推測されます。
自宅に登記という選択肢
可能であれば、自宅に登記するのも選択肢のひとつです。自宅ですと、オフィス形態を理由に法人口座ができないと言うこともありません。自宅に登記し、実務はコワーキングオフィスで行うこともひとつの手段です。