雇用調整助成金とは
≪雇用調整助成金ガイドブック 厚生労働省HPより抜粋≫
https://www.mhlw.go.jp/content/000636721.pdf
※新型コロナウイルス感染症にかかる特例処置として、4月1日から9月30日までを緊急対応期間と位置づけ
感染拡大防止のため、この期間中は全国において更なる特例措置が実施される事になりました。
雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が休業・出向・教育訓練を実施した際に、
その費用を一部助成する制度です。企業は、事業活動の縮小により売上の見通しが立たない状況でも、
休業時には労働者に休業手当(※1)を支払わなければなりません。
しかし、支払ったことにより手元の資金が枯渇すれば、企業は倒産し、労働者の雇用の維持が難しくなってしまいます。
※1 休業手当とは、会社都合で従業員を休業させた際に、法律で労働者への支払いが義務付けられている手当です。
「賃金の3カ月平均の6割以上」を支払う必要があります(労働基準法第26条、同法第12条第1項)
雇用調整助成金は、原則としてかかった費用の2/3(中小企業)~1/2(大企業)が補助される制度ですが、
これまでリーマンショックや東日本大震災の際に特例(助成率引き上げなど)が設けられました。
今回も政府は2020年4月1日~9月30日(制度拡充により6月30日より延長)を緊急対応期間と位置づけ、
新型コロナウイルス感染症に係る特例が設けられました。
今回は、多くの企業にとって、影響の大きい箇所に絞って詳しく説明します。
助成率・日額上限額の引き上げ
雇用調整助成金は、会社が従業員に支払った休業手当に相当する額に助成率を乗じて算出します。
この助成率が特例措置により「中小企業は2/3から4/5」に「大企業は1/2から2/3」に引き上げられています。
労働者を解雇しなかった場合、助成率はさらに引き上げられ、
中小企業は一律で10/10(制度拡充により引上げ)、大企業は3/4となります。
また、雇用調整助成金の支給上限額は、1人1日当たり8,330円となっていましたが、制度拡充により15,000円まで引き上がりました。
これにより、パート・アルバイトに比べ給与単価が高くカバーしきれなかった正社員の休業手当に関しても、
大部分をカバーできるようになります。
申請手続きの簡素化
雇用調整助成金は、提出書類が多く複雑で申請に手間がかかることが問題点として挙げられていました。
中小企業や個人事業主の方の中には、必要となる書類をこれまでに作成していない場合も多く
申請を諦めてしまうケースも多く見られました。
しかし特例措置に関する申請書類については、記載事項の約5割削減・大幅な簡略化、添付書類の削減がなされています。
提出書類は大幅に削減されているので、諦めていた方がいれば再度検討してみてください。
また、以下2点も参考に、申請時には必要な書類をしっかり用意するようにしましょう。
申請書類の変更点
1. 休業等計画届の提出は不要
これまでは、申請前に「何人の従業員が何日間休業するか」といったことを記載する
「休業等計画届」を提出する必要がありました。
しかし特例措置では事前の提出不要、特に「5月19日以降の緊急対応期間中に限り」提出そのものが不要になりました。
2. 実際に支払った休業手当で助成額を算出
これまでは、助成額を算定するために、「前年度の賃金総額」「従業員数」「年間所定労働日数」などの
数値を細かく記載し、従業員1人当たりの平均賃金額を算出しなければなりませんでした。
しかし特例措置では、従業員20人以下の会社を対象に「実際に支払った休業手当額」をもとに助成額を算出できるようになりました。
対象労働者
従来は雇用保険被保険者の休業に限られていましたが、
緊急対応期間中は雇用保険被保険者でない労働者(週所定労働時間20時間未満など)の休業にも、
「緊急雇用安定助成金」として支給されることになりました。
アルバイトであっても正社員と同じように休業手当が支払われますので、
アルバイトの契約書に「週3日出勤」と記載されていれば、週3日分の休業手当が支給額になります。
また、契約書がなくても口頭で「週3日出勤」というような指示や慣行が定着していれば、
週所定労働日数3日として認められ、契約書があるのと同じです。
最後に
雇用調整助成金の申請は、事業所の所在地を管轄する労働局かハローワークで受け付けてくれます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10702.html
afterコロナに向けて事業を迅速に再開させるために、また、貴重な人材を失わないために、少しでも多くの休業手当を支給し、
雇用調整助成金を活用して後で取り返すことが大事になるでしょう。